アークヒルズで開催中のフィンランドカフェを取材。夏休みの渡航先を偶然フィンランドに決めて以来、ものすごく気になる国になっている。
フィンランド政府観光局の日本局長と話をしていて、僕自身が“はめられた”ことに気づいた。映画『かもめ食堂』をバックアップするなど、今年はとくにフィンランドに関心のなかったひとに注目してもらうため、さまざまなプロモーションをしていたとか。今まで一度も渡航先の候補にあがったことのないフィンランドに行くことになったのは、いつの間にかそういう気分を刷り込まれたからかもしれない。
開催の主目的は、「フィンランド好きの人のためではない」と言っていたのが印象的だった。フィンランドと接点のなかった人に、デザインとか音楽に触れる過程でフィンランドを知って欲しいということらしい。5年前は“北欧大好き少女”みたいな人ばかりが来たそうだが、最近ではカフェの雰囲気が気に入ったり、口コミで知った人が多く来ているそう。
「フィンランドだからいい」ということではなく、気に入ったデザインや雰囲気がフィンランドから来たものだった、というところがフィンランドの魅力だと思う。旅行中にもそう思った。フィンランド旅行で何がよかったかと問われると、何より先に「雰囲気」と答えたくなる。
局長も言っていたが、フィンランドの歴史的遺産としての“見栄え”は他のヨーロッパ諸国に劣る。しかし、現在の文化は受け入れやすい。なんというか、自己主張が強くなく、シンプルなので、商品や考え方で気に入ったものを輸入したとして、日本文化の中で溶け込みそうな気がするのだ。
これも局長と合意したことだが、フィンランドの魅力は「旅行」者には分かりにくい。ガイドブックに書かれたものを確認しにいく「旅行」をするためにフィンランドに行くと、「ドイツやフランスの方がよかった」という感想を抱くだろう。しかし、行った先で未知なる物を発見したいという「旅」人の感覚を持っていれば、その魅力が分かると思う。
取材していて、カフェのメニューは僕の友人でもあるフード・クリエイターの植松良枝さんが監修していると分かった。彼女の料理は想像力/創造力があって、うまいですよ!